うさぎのろぐ

成長期どこでも寝落ち桜河と二人きりの楽屋。ちょっとやそっとじゃ起きないってもう知ってる桜河の顔を覗き込んで、指先でくちびるに触れてみたり少しだけ顔近づけてみたりするけど、結局何もできず、傍らに座って文庫本開く片思いのメルをずっと見てたいよ。壁紙になりたい。

やわらかな感触と吐息が残る人差し指を親指と擦り合わせて、胸の痛みに一瞬目を瞑るメルの顔を。桜河の足に触れるか触れないかの距離に座って、触れることをほんの少しだけ期待しながら、密室殺人が起こった土砂降りの洋館に意識を逃すメルの顔を……あたし壁紙だから何もできないけど、応援してるよ。

壁紙だから、２人が付き合ったなって感じ取ったら壁紙生命を賭してシミというシミを結集し、「おめでとう」って文字を描き出すけど、桜河をビビらせメルに怪訝な顔されて、早急に貼り替え燃やされる。